イップスの症例|中学3年生ピッチャー

こちらは2018年のブログ記事です。

こんばんは。 広島市南区の整体 鍼灸 佐々木整骨鍼灸院です。

毎年春から野球選手のイップスが多いのですが、今回は中学3年生のシニアリーグのピッチャー。

4月から中3ですがすでに身長が180センチ良い身体をしてます~♪

話しを聞くと昨年の8~9月頃右肩に打球を当てそれから少しおかしくなり段々と酷くなったそうです。

最悪だったのが12月~1月でここ最近は少しマシになってきたモノのまだブルペンでは投げられない状態で不安が大きいようです。

今まで来院してきた多くの選手は、大事な試合でミスをしたり、先輩に暴投を投げたり、監督やコーチに酷く怒られたり、精神的ストレスを感じてイップス症状になったケースが多かったのですが、今回は打球を当ててかばった投げ方となり、そこからコーチ等のアドバイスを受けて本来の投げ方がわからなくなった感じでした。

 

先ずはいつものようにホワイトボードに今までの経過と、何故イップスになったのか?を詳しく書いていきます。

 

そして今何が起きているのか?どういう状態でイップス現象が起きるのか?を頭で理解してもらいます。

 

それからイップッス症状を治すためにはどうしたら良いのか?どんなトレーニングをしていくか?を説明します。

 

そしていつが大事な試合で、いつまでに治れば良いのか?という事もこれからの目標・計画として聞いていきます。

 

今まで何度も書いてきましたが、イップスは無意識の緊張のために起こるので、意識的なコントロールをしようとすればするほど治りにくくなります。

 

ですから、無意識に任せて(頭で考えるのでは無く身体に任せて自動操縦で)投げられるようにする事が大事で、その為には投げ方についてのアドバイスは意識的コントロールになってしまうので避けたいのですが、監督やコーチ等がヘタにアドバイスすると泥沼にハマってしますので、その辺りについても普段の練習でどういう状況かを聞く必要があり、もし監督やコーチが投げ方等の指導をしてくれる場合は暫くそのアドバイスを聞かないように伝えないといけません。

 

先日読んだ「勝てる脳、負ける脳」という本に運動の自動化について詳しく書かれているので、是非読んで欲しい一冊です!

 

それからやっとシャドーピッチングをしてもらいましたが、そのシャドーを診ると問題が。。。。

 

肩肘に負担がかかる投げ方になっている。。。

 

いわゆる甲腕一致が出来ていない状態。立甲や 甲腕一致

 

今回投げ方の指導をしてしまうと身体の使い方に意識がいってしまいイップスの症状が酷くなる可能性があるのですが、本人に確認して「今の投げ方だと肩肘に負担がかかるから本当は肩肘に負担がかからない投げ方に変えて欲しいけど、それをしてしまうとイップスを治すのに時間がかかる。それでも今回しっかりと投げ方を変えると高校になっても肩肘に負担がかからず楽しく野球が出来る。僕自身が○○君にずっと関われるのだったら絶対にそれを勧めるけど、遠方からの来院でなかなか来院も出来ないし、練習にずっと関わる事が出来ないから、先ずはイップスを治す事を優先して、治ってからゆっくりと投げ方を変えるという事で良い?」と聞くと「お願いします!」とのことだったので、先ずは投げ方については指導しない事に。

 

それから実際に特殊なボールを使って実際にキャッチボール。

そこからここ最近一番イップス症状が酷かった場面を思い出してもらい、投げて貰う事に。

ここが一番重要なポイントで、ここで本当に酷いイップス現象が出れば、半分以上治ったようなモノです~♪

その為時間をかけてゆっくりと誘導していきます。

上手くイップス症状が出ました~♪

そしてこの時の身体の感覚をしっかりと感じてもらい、身体に何が起きているかをチェックします。(ただまだ中学2年生でそこまで身体の事を意識していないので上手く感じられません。。。こちらが身体の力の入り具合はどんな感じ?地に足着いてる?呼吸は?手汗は?等々。)

それから身体を緩める体操を伝え、いつもの鞭を使います~(笑)

そして力が抜けた時にボールの重さを感じられるかチェック。

ここからまたキャッチボールしますが、今度は今までで最高のピッチングが出来た場面をしっかりと思いだしてもらいます。

こっちの方が楽しいし思い出しやすいです~♪

そしてまた身体の感覚をみてもらいます。

 

当然イップス症状が出ない状態そしてこの感覚をしっかりと身体に覚え込ませる事が出来るまでしっかりと投げてもらいます。

 

そして最後にリベンジ!

 

これでリベンジが出来たらほぼイップス症状はこの時点ではなくなります。

あとは実際の練習や試合でどうか?

宿題に身体を緩めるトレーニングとイメージトレーニングをしてもらう事を約束して終了なのですが、今回は投げ方の問題もあるので、サッカーボールでのキャッチボールを行い、この感覚で投げると肩肘を痛めない事を確認。

下の動画は以前紹介したかも知れませんが、荻野投手がサッカーボールを投げている映像があるので参考に。

 

ここ最近イップッスについての記事がたくさんあって、僕自身も参考にする事があるのですが下記の記事は指導者の方には少し理解しておいて欲しいです。

 

イップスって何?

 

今回のように肩肘に負担がかかる投げ方の場合、将来の事を考えると絶対に今のうちに治しておきたいのですが、何を優先させるか?をしっかりと考えておかないと泥沼にハマるので、注意が必要だな~と思う症例でした。

 

今後はLINE等でフォローする予定です。